ルナマリア・フォークは強い女性だ。
 
 ずっと、そう思っていた。
 共に戦線に立ちながら、いつでも自分の背後を守ってくれる。任せることのできる、仲間だ。
 長い間、馬鹿な事を言い合ったり、ふざけあったり、喧嘩してむかついたり、泣いて抱き合ったり、いつでもしてきた。ルナマリアとレイとは特にそうだった。
 勝気な瞳の少女を一度だって「女性」としてみたことのなかったシンは、今でも「あの時、あんなに私はアスランさんに恋焦がれてたのに!気づいてなかった
のあんたくらいね」なんていわれる。気づけって言われたって、あの頃はそんなことに目をくれている暇がなかった。余裕すらなかったのだ。
 いや、それは今でも変わらないと言われるだろう。そもそも、興味がないに等しい。聞かれれば、そりゃあ面白くはない。だが、自分がもてるタイプの人間で
ないことは学生時代にとっくに知っていたし、シンにとって誰が誰に恋していようが関係なかったというのが本音である。
 とにかく、ルナマリアはシンにとって、特別な仲間であっても、女の子ではなかったのである。
 “あの時”は、純粋に守ってやりたいと、そう思った。

 掌から、どんどん零れ落ちてゆく「かけがえのない人」の命を目の前にして、己の不甲斐なさや小ささを知り苦悩を通り越して達観してしまったあの時、シン
は覚悟が決まっていなかった自分を知った。
 仲間であるアスランとメイリンを追い、そして討つ。その行為を避けて通ろうとしている自分がいた。そして、それをいけないと叫ぶ自分も。
 今、冷静に考えても何をどうすることが良かったのか、正しかったのか、そんなことは答えが出ない。出してはいけない気がした。だが、結局何に対しても中
途半端だったのは、シン自身だと今では言えた。
 それが生んだ結果が、守ると決めた人を目の前に最後には討とうと動いてしまったことだ。
 今でもアスランの叫ぶ声が耳に残り、痛い。
 どうしてこうも、シン・アスカは弱いのか。ずっと、苦しくて辛いばかりだった。
 戦争が終わって、自分が「復讐」というものを失ったとき、一体どうなってしまうのか本当は恐ろしかった。
 なにをすればいいのか、わからなくなる気がして。

 生きている意味が欲しかった。
 戦う理由と同じほどの、意味が。
 
 誰かを守るということを、したかった。
 この手でひとりだけでも、守れるのだと。そう自分に言ってやりたかった。

「あんたってさ。そういうの、全部見えるから」
 星空を見上げながら、ルナマリアは言う。
 その横顔は清々しく、シンは見つめながら思わず黙っていた。その様子に気づいたのか、ルナマリアは振り返って首を傾げた。
「なに?」
「いや、なんでもないけど」
「・・・・・・そう?」
「何でもないって」
「どうせまた、ルナマリアには昔から世話かけてばっかだな〜、とか、やっぱ女とは思えないな〜とか思ってたんでしょ」
「・・・・・・」
 明日も仕事だというのに、突然呼び出した。
 文句も言わずに、ルナマリアは近所の公園まで出てきてくれ、こうして二人でブランコに乗りながら話をしている。
「はーい、図星」
「うるさいなあ」
 あながちはずれていないだけに、シンは渋い顔をして顔を逸らした。
「艦長がね。たまには我慢しないで、縋りついたらって言うの」
「タリア艦長?」
「そう。カッコ悪くてもいいじゃないって」
 ルナマリアは笑顔で頷くと、小さく息を吐いて漕いでいたブランコをとめた。
 自分も大概、背が伸びて大人になったかと思うが、ルナマリアを見ていると自分だけが取り残されている気がしてしまう。それほど彼女は四肢も大人っぽく伸
び、少し髪も伸びて女性らしくなっていた。
 綺麗になった。
 そう言ってあげたかったが、言えない自分にシンは俯いて苦笑した。
「戦ってた頃さあ、私好きじゃなかったんだよね。艦長」
「そんな感じだったな」
「議長とデキてたとかさ?やり手だったし、色んな噂あったじゃない?先入観っていうか・・・・・・ま、私たちに対する態度とかもあったけど」
 艦長という立場で、上がプラントのお偉い様方。そして女性の艦長とあらば、多少我を張って己を作っていても仕方のないことだろうとシンでも思う。
 色々と問題を起こしたシンとしては、今思うと頭が上がらない。
「でも、今日話をしてて・・・・・・なんだか、自分に気づいていなかったなって。凄く好きだったみたい、艦長のこと」
 普通の高校生のような生活を送ることのできなかった十代に、シンやルナマリアにとって人生のなんたるかを教えてくれたのはタリアなのだと思う。自分たち
にとって先生のようで、母親のようで。時には父親のように厳しく怒鳴りつけてくれた人。
 ルナマリアの表情には感謝と愛情が溢れているように見えた。シンもつられて微笑んだ。
「お母さんに、アドバイスもらった気分でさ。だから今日は、よし!前向きにいくぞー!!って決めたの」
「・・・・・・」
「そうしたらさあ。何か吹っ切ったみたいな声で誰かさんが電話掛けてくるじゃない?」
 そよそよと吹く風は汐の匂いがした。
 オーブの海からやってくる風が、優しく穏やかに時間の経過を知らせてくれる。
「お、男を見せるのか、シン・アスカ!って思って会ってみれば・・・・・・まーた、捨てられた子犬みたいな顔して」
「誰が子犬だ」
「そうね、そんな可愛らしいもんじゃないわね」
「お前なあ」
「わかってるよ。あんたが、私と前向きに付き合っていくことを決心したんじゃないって」
「ルナ」
 微笑んだまま言うルナマリアにシンは知らずと強い語調になった。
「俺は」
「いいって。無理してるの知ってたから」
「ルナ、」
「それでもいつかは振り向いてもらえるかなとか、情けなくっても縋りついて私といてほしいとか言ってみようかなって思ってた」
「ルナマリア!」
 思わず、シンは立ち上がってルナマリアを見返す。
 いつの間にか俯いて、足元の砂を爪先で絵を描くようにしていたルナマリアの旋毛に向かってシンは言う。
「聞けよ、そんなふうにお前と話たいんじゃない」
 声が出にくかった。
 胸が苦しくて、明るいほどの月夜が自分たちを照らしているのが悲しく思えた。
「なによ」
「ルナ」
「なによ・・・・・・!知ってるわよ、あんたのことなんか全部わかってるわよ!でもね、見ないふりしてきたの。私だって女だし、それなりに嫉妬だってする
しむかつく事だってある。もう死んでいなくなった女にどうしていつまでも振り回されなくちゃいけないのって、そう思ったことあるわよ。ある、何度だってあ
るわよ。あんた、気づいてないかもしれないけど、いつもいつもいつも!そう思ってた」
 俯いたままのルナマリアは、勢いに任せて吐き出すようにそう言った。シンは思わず言い返しそうになって口を噤む。目に映ったルナマリアの堪えるように震
えるブランコの鎖を握る手を見て、目を伏せた。
 何もかも、自分自身がルナマリアにさせていることだ。
「でもね・・・・・・どうにもできないあんたのことも、知ってるの・・・・・・。あんたが不器用で、忘れることの出来ない人間だって。一番側でみたきたも
ん。笑っちゃうよね」
「ルナ、俺ちゃんと話がしたい」
 顔を上げてほしかった。直接、ぶつけてほしかった。
 不意に止まったルナマリアの爪先に、シンは息を呑む。ほたり、ほたりと落ちて砂に絵を描くのは涙だった。
「・・・・・・ほんとさ、バカみたい。なんで好きなんだろう」
 重なり落ちる涙をただ、拳を握り締めてシンは眺めていた。
 抱きしめることは今のシンには許されない。そう思った。
「ずっと、不思議でさ。あんたのこと、好きなの。いい男なんて山ほどいるのに、同僚の合コンも断って。大して相手もしてくれないような、しかも会えても他
の女のこと考えてるような奴をさあ。いつまでも・・・・・・いつまでもケジメつけれなくて」
「ルナ」
「私たち、18歳、もう・・・・・・すぐに19になるよね」
「・・・・・・ああ」
「立派に大人じゃん?」
「そうだな」
「ろくに青春もしてこれなかったけど、大人にならなくちゃいけない」
 砂の上に描かれる星は増えてゆく。
 ほたり、ほたり。
 滲んで、消えて、また、生まれる。
「ねえ、シン」
「・・・・・・ルナ」
「それでも好きだったんだよ。あんたのこと」
「・・・・・・ルナマリア」
「好きだから、いえなかった」
 長い、長い沈黙の後、ルナマリアは爪先で星空を蹴散らすように掻き消す。
「誰も言わないだろうから、言ってあげる」
 立ち上がって、勢いよく顔を上げたルナマリアの顔はいつもと変わらない、真っ直ぐで一直線な笑顔だった。瞳の端に浮かぶ涙に気づかない振りをして、ルナ
マリアは続ける。
「死んだ人は戻ってこない。待っていても、どうやっても戻ってこないの」
 逸らさずに見返した双眸は、強く儚い光を放ってシンを射抜いていた。ずっと、変わらず側にいてくれたルナマリア。彼女はシンという人間を良く知っていた。 本人よりも、ずっと。
「それでも、好きなのね」
「ルナ」
「わかった。もういい」
「ルナ!」
「今、この瞬間からあんたと私は元通り。いいわね?」
「ルナってば!俺は」
「話すことなんかないよ。バカね、シンは」
 微笑んでルナマリアは強くシンの肩を叩いた。
「さ!明日も仕事よ、帰った帰った」
「おい」
「帰って。お願い」
 振り返らせないよう、背を無理やりに押され、シンは一瞬迷ったが、ルナマリアの声は小さくて消えそうなほどだった。
「今、優しくするぐらいなら、嘘は突き通して」
「・・・・・・ごめん」
「謝るのね、最低」
「ごめん」
「・・・・・・応援してあげられるほど大人じゃない。だから今はこのまま帰って」
「ほんとに、ごめん」
「帰って」
 ままならない。
 どうしてこんなにままならないのだろう。
 シンは噛み締めた口唇から血の味がして、思わず更に噛み締めていた。
 踏み出す足は、それよりもずっと痛く、重い。
 
 人を愛するということは、どうしてこんなにも綺麗ではいられないのだろう。
 愛するから幸せになり、幸せを知るから憎しみを知る。
 愛するからこそ、憎んでしまう。
 思い出の中で歌い踊り、微笑む君は不幸せだろうか。
 青空と海の色は、君の涙と同じだろうか。
 
 こんな俺を、君は笑うだろうか。
 
 どうやってそこから家にたどり着き、翌日ミネルバに出勤したのか、シンは本当にわからなかった。
 鉛のように重たい気持ちだけが、己のしたことを証明していた。
 
 
 

「通夜か?」
「・・・・・・」
 誰もいないはずのミネルバでのシンの自室に堂々とノックもせずに入ってくる奴は、一人しか居ない。
 親友の来訪にシンは反応もしないでデスクに突っ伏したままでいる。
「誰が死んだ?」
 まだ言うか。
「・・・・・・俺だよ、俺」
「なるほど」
「わかってるくせにお前ってほんとサドだよな」
「まあ、お前はマゾだな」
「そうね、私たちいいコンビね☆って殺すぞ」
「物騒な」
「ぬけぬけと・・・・・・」
「助かっただろう?」
 言い返そうとして、シンはやめた。
 確かに初めて人心地に戻った気がする。
「シン。お前はひとつ勘違いしている」
「なに?」
「ルナマリアは不幸になったのではない。幸せへと踏み出したんだ」
「・・・・・・」
 ストレートなレイの言葉に、シンは突っ伏していた顔を上げて睨み返した。図星なので言い返しはしない。
「お前みたいな鬱陶しい男と別れて、次にいけるってことじゃないか」
「丁寧に説明するな」
「事実だ」
「そーですねっ」
 レイは満足したのか、隣のテーブルに座ると手に持っていた紙袋からごそごそと何かを取り出し始めた。
「お前、ゾンビみたいだと艦内で苦情が出ている。食え」
 並べられたパンやらサンドイッチに、シンは瞬いて仏頂面のレイを見返す。
 パンと珈琲付き。
 どう考えても、この悪友が用意したものではなさそうだ。
「ルナマリア?」
「お前にしては察しがいいな。食え」
「あいつ、どこまで優しいんだよ」
「食え」
「俺なんか」
「食えといっているだろう」
 徐にレイはパンを掴むとシンの口に突っこもうとした。突然の暴挙にシンは驚いて身を引く。
「おまっ」
「黙って、食え」
「・・・・・・わかったよ」
 どうやら、怒っているらしいレイにシンは小さく嘆息してパンを受け取った。
 口に運んで、お腹がすいていたことに気づく。自分の不甲斐なさに重たい溜息が出た。
「これも飲め」
 レイは表情を変えないまま、手にした珈琲をシンの目の前に置いた。
「お前の好きな、甘いやつだ」
「・・・・・・サンキュ」
 受け取ったのを見て、レイも自分の手元の缶コーヒーを開ける。黙々とただ監視するようにシンが食べるのを見るレイにシンは居心地の悪さを訴えたかったが
どう考えても言い返されるので、黙ってパンを口に突っこんだ。
 鉛を食べているような感覚に、シンは顔を振った。
「・・・・・・返事はしなくていい。黙って食っていろ」
「・・・・・・」
 レイは前置きをすると、ゆっくりと口を開いた。
「あいつが何と言ったかは知らんが、俺ははっきり言っておくことにする」
 シンは敢えて返事せず、味のしないパンを口に放り込み続けた。
「お前は最低だ。男として、どうしようもない奴だ」
 言い切って、レイは缶コーヒーを飲み干した。そのまま置かれた乾いた音がテーブルに響く。
 一瞬、何か言い足そうとしてレイはやめたようだった。シンはやはり見返すことはせず、ただ一点を見つめて口を動かした。今、親友が
なにを思い、何を伝えようとしてくれているのか手に取るようにわかるからこそ、何も言わずにいた。
「それを食い終わったら、演習場に来い」
 
 
 
 今でもMSに乗ると、心が震撼する気がする。
 戦後、俺たちMS乗りはPTSDの恐れがあると多くの検査を受けることを強制された。勿論、今もミネルバで働かせてもらえているよ
うに俺やレイ、ルナマリアたちは問題がなかったわけだが、人間の心なんて検査で推し量れるものではないとよくわかった。
 経験は消えない。
 一度、抱いたものは消えはしないのだ。
 目を開けると、レイの乗るザクが目の前に静かに佇んでいた。握りなおす操縦桿が遠く感じて、顔を振った。
「俺たちはこうしている瞬間しか、色んなこと直接感じられないのかな」
 口の中に広がる苦い思いに、俺はもう一度目を伏せた。
 ここで何度も叫んだ。
 届かない叫びを、何度も何度も。
 誰にも見せれない涙を流した。ここでなら、泣くことも許された。
「ありがとな、レイ」
 決着のつくことなんて、ない。
 人生に答えがないように、それもまた同じことなのだと、それでもいいのだと教えてくれるのはいつでもかけがえのない仲間たちだ。
「どうしようもないって言いながら、こうしてケツ叩いてくれるんだよな」
 自然と浮かんだ笑みに、俺は力を得る。
 一切合切、うじうじした気持ちごと切捨てよう。今、この場で。
「愛してるぜ、レイ」
<気持ち悪い>
「・・・・・・」
<ずっと音声、オンだったぞ。シン>
「・・・・・・早く言え」
<仕方のない奴だ、お前は>
「嬉しいくせに」
<そうだな、嬉しい>
「え?」
<本気にするところを見ると、嬉しがって欲しいのか?>
「お前なあ」
<心配するな。有り得ない>
「そりゃあ、どうも!」
 俺は思い切りボタンを押して通信をオフにした。
 隙あらばこうして毒を吐いてくるレイに呆れながら、俺は深呼吸する。

 ここは戦場ではない。
 心でぶつかることのできる、素直になれる。
 そんな場所だ。

「なまってるんじゃないの、か!」
<お前こそな>
 レイの声は涼しかったが、MSの動きはそうではなかった。元来、射撃や狙撃の得意なレイにとってシンのようなタイプと接近戦をする
のは不利であった。シンの立て続けに続く剣撃にレイは苦戦するように盾で避け続けていた。
「俺は、お前がいうように最低、最悪の男だよ!」
 重い一撃がレイの操るMSのボディに入る。揺らぐ機体をすぐに立て直したレイは後方へ退いた。
<よくわかってるじゃないか>
「どうしたらいいか、わからないんだよ!!」
<ふざけるな>
 レイの放ったビームサーベルの突きを素早く避け、シンは間合いを詰めるように懐に入る。
「こんなどうしようもない俺を・・・・・・叩きのめしてくれよ!!」
 体当たりするように機体を勢いよくたたきつける。レイの機体は今度こそ傾き、地面にのめり込んだ。追い討ちをかけるようにシンは次
の攻撃を繰り出す。
 繰り出した拳をレイはなんとか掴み返して耐えた。
<や、はり・・・・・・、お前はマゾだな!!!>
「じゃあお前はサドっけ、発揮してみろよ?」
 取っ組み合いになった二人の機体はそのままこう着状態になる。
『ちょっと、二人とも仕事放り出して何してるわけ!?』
≪邪魔するな!!≫
 司令室から通信を送ってきたルナマリアに二人の声は重なる。
「・・・・・・呆れた、信じられない」
 そんなルナマリアの声は届くはずもない。
<シン!お前の戦い方は、品がない>
「お前はキチキチしすぎて、とろいんだよっ」
 ぎちぎちと互いの機体の軋む音を聞きながら、食い縛った口の端で負け惜しみを言い合う。司令室にいるであろうルナマリアが何か文句
でも言ってそうだが、二人には聞こえなかった。
「お前こそ、今年こそ彼女くらい作れよ」
<お前はもうこの先、モテ期はないな。どうしようもないな>
「うるせえっ」
<頼みの綱のルナマリア様が見放したからな!>
 痛い言葉と共に、下から突き上げたレイの拳がシンの機体にぶつかる。
<いつまでも甘えてないで、一人で立ち上がることを覚えるだな!>
「・・・・・・っかってるよ!!」
 耳が痛い。
 でも、こうして言われることが必要だった。今のシンにとって、何より救いだった。
「ありがとな!!」
 ここ一番のレイの右ストレートが思い切りシンの機体に入った。
 
 

「馬鹿よねえ、男って」
 ルナマリアの呆れた声を拾う者は司令室にいない。
 目の前の演習場で繰り広げられる仲間達のストレス発散に、苦笑しながらルナマリアは椅子の背もたれに身を預けた。
「・・・・・・私も相当馬鹿だけど」
 仕方ない。
 ずっとそうしてきたのだから。急に変われない。
「よーし!いっちょ、付き合ってやるか!!」
 立ち上がったルナマリアは、もういつもの彼女らしい笑顔である。
 
 その後、演習場がえらいことになったのは言うまでもなく。
 
 
 ねえ、ステラ。
 君が僕の元に還ってくる。
 それは奇跡とも呼べない、ありえないことで。
 皆、ひとかけらだって思っていなかったことで。
 僕自身、本当にそうだったんだ。

 たくさんの人を傷つけて、
 たくさんの人を泣かせて、
 たくさんの人を苦しませて、

 それでも、
 君を忘れることはできない。
 僕は、あの時間に囚われたまま、その時間の鍵は君しか持っていなかった。

 君は笑うかな。
 こんな僕の、

 
 
 
 

戦後、シンルナ、、、にチャレンジしたくて書き始めたお話です。

5話で終わることできて奇跡。

更新滞っててすいませんでした!かくど〜♪

inserted by FC2 system